2015年 05月 01日
1997年夏の遠野歴訪のキロクです。 此の頃は決して長くは無い夏休みを目いっぱい利用して遠野遠征していました。 1997年は「初代青い彗星号」デビューの年でした。 まさか、デビュー5カ月目で遠野の山奥深きダートを走らされるとは お釈迦様でも存知めぇ!(笑) 歴訪その2(1997年8月15日~8月17日) 8月15日 今回は遠野三山かけと観光が目的だったのだが・・・・・・天気がどうにもすぐれない。平地は雲が切れて時折陽がさすのだが、山々には雲がかかり、その頂見ること能はず。 遠野三山とは 早池峰(はやちね) 六角牛山(ろっこうしさん)石上山(いしがみやま)を指す。 その一つ六角牛山に近づく。 青笹村糠ノ前の六角牛神社が六角牛山の登山口となっている。車でさらに上まで入ることができる。名を峠登山口といふ。一合目の雨量観測所までは比較的幅の広い道だ。二合目で糠ノ前からの山道が合流するはずだが完全な廃道となっていた。四合目までは斜度のゆるい林間のプロムナードだが、その先からは一気に傾斜がきつくなりまた露岩が多く歩きにくい。まわりは鬱蒼とした森で、完全に雲の中にいるらしく薄暗い。木々の梢にたまった霧滴が風とともに雨の如く降り注ぐ。気分は落ち込むが暑くないのだけが救いだ。八合目付近からまわりの植生が変化しだす。木々は丈低くなり、林床に可憐な花々が見てとれる。九合目には廃屋ありて石塔と素掘りの井戸あり。道はこの先潅木帯となる。天気が良ければ眺望が期待できるのだが、霧のため視界は50メートルもない。ほどなくして山頂に到着せり。 青笹糠ノ前 六神牛神社 六角牛山 峠登山口 峠登山口11:30→六角牛山13:00 標高1294.0m 二等三角点。頂上直下に六神牛神社の奥宮があって鉄剣の類の奉納物あり。また寄せ書きのノートありて登頂者その思いを書きつらねてあり。自分もまた数行を書き加えたり。その後往路を戻りたり。 六角牛山13:30→峠登山口14:40 雨に濡れた露岩の急斜面はしんどいということだ。 車を中沢川方面に走らせる。思いの外、悪路にて我が愛車に負担がかかる。、瀬内を経て遠野市街へ出る。二山目の早池峰に登るべくその日のうちに附馬牛村は大出のさらに奥、馬留まで入る。途中、車の中から大出早池峯神社に参拝した。不精だなぁ。 附馬牛大出 早池峯神社 夜半、遠野市の花火大会の音轟きたり。その音、遠雷の如し。天狗なめしの如し。8月16日 今日も朝から天気は悪い。あたり一面深い霧だ。多分平地では晴れているのだろうが。 今日のテーマは古(いにしえ)の道をたどり早池峰を目指す、だ。ただ早池峰に登るだけなら迷わず小田越へ行くのだが、それではおもしろくない。昔の遠野の人々が歩いた道を通って頂上を極めたい。 馬留から又一の滝まではしっかりした道がついている。路傍のがけ地に真新しい熊の足跡があった。大きさからするとまだ若い熊のようだが出来れば遭遇は避けたい。 又一の滝の不動堂 又一の滝は落差30mのナメ滝で、滝壷の傍らには社があり中には不動様(?)が祭られている。この先で道は二手に分かれる。薬師岳への直登コースとその東麓を巻いて小田越へ至る古道、通称横通りだ。後者を進む。小尾根を乗り越し沢を渡る。もう一本沢を渡り、道はこの沢沿いに直登していく。道は時折不明瞭になるが、迷うことはない。子1時間で登りは終わり薬師堂に到着。薬師堂の薬師如来 とともに本格的に雨が降り出した。薬師堂はトタン張りの粗末な小屋で、中には薬師如来が鎮座していた。古い旅程標 二リ六丁と読める 薬師堂を出て雨の中、きっちり1時間で旧小田越山荘に到着。陰気な小屋は倒木の直撃を受けてハリが折れ、壁の一部が破れている。中には所かまわず落書きだらけ。その殆どが昭和30~40年代のものだ。これだけ古いと由緒正しく感じてしまう。ここで方針変更。薬師岳を目指す。(おいおい早池峰は?)(やかましい! こんな天気じゃ登っても意味がない) 途中、この山旅初めて人と会った。子供連れのファミリーだ。父親が「きついですよ。」と脅す。きつくはないが手の焼ける道だった。標高1500mを越えてからの露岩の道は滑りやすくてとても歩きにくい。息が上がる頃に漸く山頂に登り付いた。 薬師岳山頂 薬師岳山頂の大岩 山頂には大岩がいくつかあって、あとは這松の原だ。物語29話で山男が金銀をひろげていた岩というのはこのうちのどれだろうか? 幸い雨はあがっている。山頂で日和っていると犬1匹とオヤジ一人に遭遇する。向こうも山頂に人がいるのを意外に思ったようだ。そうだよな。こんな天気悪い日に山登るなんてよほどの変人だよな。本来なら北方に早池峰が大きくそびえるはずなのだが、なーんも見えん。そのうちまた雨が落ちてきた。完全に登山意欲をなくし、又一の滝へのコースをたどる。山頂直下の這松の原は廃道に近いがガイドロープが張ってあるのでそれを頼りにすれば迷わない。潅木帯に入れば道は明瞭になる。と同時に日光が差し始めたじゃないか。もう一回、山頂に戻ろうとしたがやめた。これは天気が回復したのではなく、自分が晴れの領域に入り込んだだけなのだ。いまだ山頂は雲の中なのだ。1時間半ほどで又一の滝に戻ってきた。途中水の中を泳ぐモグラのような獣を目撃した。名前なんていったっけ?今日も馬留でテント泊とする。 附馬牛村馬留4:40→5:10又一の滝5:15→6:24薬師堂6:34→7:34旧小田越山荘8:05→9:24薬師岳10:40→12:14又一の滝12:25→12:59馬留 8月17日 今日は帰京の日だが、遠野の東に連なる気になる山々を車でまわってみることにする。 付記 後日 石井正巳氏著 『図説 遠野物語の世界』の中で柳田国男の遠野滞在の検証の一説を読み、もっと手前の忍峠である可能性を知った。いつか自分の目で確かめてみるつもりだ。 さて遠野の東に連なる山を南から数えていくと、六角牛山、笛吹峠、権現山、堺木峠、貞任山となる。そのあと山脈は琴畑川の流れに阻まれ東へ延び窓貫峠、樺坂峠を経て白望山へと続く。現在その山嶺の大部分は牧場となってしまっている。そのおかげで車でこれらの山々を巡ることができたのだが・・・・・。 ☆1 笛吹峠(物語5話/93話/拾遺2話) 立派な県道を通る限り、駄賃の徒が山人を恐れたという面影はない。その峠の手前すぐのところに北へ延びる林道がある。この道が前述の山々の裾をぬって走る道となる。道は未舗装で極めて悪い。運転の未熟な方、あるいは愛車を大切にしたい方は入らないほうがよいでしょう。 ☆2 大谷地?(物語9話/41話) 堺木峠の下、山口から上がってくる道は舗装されている。なんでもスリーグリーンラインというらしいが、意味不明である。何しろ牧場の中を突っ切っているので寄り道ができない。ただ走るだけだ。堺木峠の旧道跡も安倍貞任が馬を冷やしたという場所も探索できなかった。 ☆6 貞任山(物語67話/拾遺96話) 道はさらに五郎作山、石仏山を経て窓貫峠まで快適な舗装路である。その先、樺坂峠までは悪路で路肩の崩壊部もあるので、ヤバイと思ったら引き返したほうが無難だ。樺坂峠から長者屋敷を経て琴畑への道も悪路だ。悪天の直後などは通行不能になるくらい荒れ果てる。☆番外 白望山(物語33話・34話・35話・63話・64話/ 拾遺103話・111話・115話・116話・117話・222話) ここに記載されている道路状況は1997年夏のものです。今日現在の状況はさらに変化しているでしょう。
by Wild_Cat_Seeker
| 2015-05-01 22:12
| 復刻 山猫の館
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