山猫を探す人Ⅱ

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2012年 11月 25日

山猫的遠野遺産③

遠野物語で語られた山の怪異譚は数多い。ワタクシを遠野物語の世界へ誘う役割を果たした。今でもこれらの怪異譚を読み解くと得も言われぬゾクゾク感に襲われる。
「戦慄せしめよ!」 「戦慄しましたぁ!」 なのである。



その話を地図上に投影していくと、明らかに、「あの山」の周辺に集中する。



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白望山(白見山)だ。



これを遠野遺産とするのは、書いている自分でさえ、ちょっと違うのではないか? と
筆を置きたくなる。
というのも「遠野遺産の定義」を読み返すと判る。



遠野遺産とは?
遠野遺産とは、これまで遠野の人々が大切にしてきた「たからもの」のこと。




 たとえば次のようなものが、遠野遺産候補として考えられます。
 ① かたちのあるもの(有形遺産)    
    古民家、シンボルになっている建造物、いわれのある場所、
    歴史的な出来事があった場所、記念碑など


 

② かたちのないもの(無形遺産)    




    古くから伝わる風習、民俗芸能、伝承、伝統技術、食文化など


 

③ 自然のもの(自然遺産)    




    地域のシンボルになっている木や滝、洞窟などの珍しい地形、自然現象など


 

④ 組み合わさったもの(複合遺産)    




    古い建物と自然のものとが一体となって成り立っている景色



大切にしてきた「たからもの」   という最初のところで躓くのです。



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金山師が鉄を吹いた「野たたら製鉄」の跡と柳田国男が指摘した「長者屋敷」は深い藪のどこかに眠ったままか、林道敷設で粉砕されてしまったか・・・・・よく判らない。



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遠野物語の数々が語られた時代は、鬱蒼とした森がどこまでも続いていた山落場沢(やまおとしばさわ)は採草地になってあっけらかんとしているし。。。。



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砂鉄が厚く堆積していたと謂われた沢も大地から砂が流失して川床上昇を招いているし・・・・・・



おおよそ大事にしているとは言い難い。



 



その一方で、

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採草地を元の森に返そうと、杉ではなく広葉樹を植林する試みが行われています。



駄賃付けの衆や漁師が戦慄しながら深い森の中のか細い道を歩いた経験は残すべき遺産としてもいいのではないのでしょうか。
我々の世代が無理だとしても次の世代か次の次の世代が経験できれば・・・・・・


まぁ、これは期待を込めた山猫的遠野遺産認定ですね。



山猫的遠野遺産3号は「怪異譚を生んだ白望山(白見山)周辺の自然」です。



by Wild_Cat_Seeker | 2012-11-25 10:46 | 遠野物語の地 | Comments(0)
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